進捗確認に偏っていた1on1を、部下の成長を支える対話の場へ見直した事例です。
都内のIT企業A社では、社員数が100人を超え、組織が急速に拡大していました。事業の成長に伴って管理職の業務量も増え、1on1の時間も業務上の進捗確認に使われる場面が増えていました。
本来、1on1は部下の成長を支え、管理職との信頼関係を築くための機会です。しかし、部下が抱えている課題や目標を十分に把握できなければ、対話の内容も目の前の業務確認に寄ってしまいます。
そこで、1on1をどのような時間として位置づけるのかを見直し、管理職が部下の状況を捉えながら、対話やフィードバックをおこなえる状態を目指しました。
プロジェクトの進め方
今回の取り組みでは、1on1の進行方法だけを変えるのではなく、まず「何のために1on1をおこなうのか」という目的から見直しました。
組織が拡大するなかで、管理職と部下の関係も変わっていきます。業務の進捗を確認するだけでは、部下が抱えている課題や成長への意識まで捉えることが難しくなります。
そこで、1on1を成長支援の機会として捉え直し、目的、対話、フィードバック、管理職のスキルという複数の側面から再構築していきました。
01|進捗確認から、成長支援へ
最初に見直したのは、1on1そのものの位置づけです。
業務の進み具合を確認することは、もちろん必要です。ただ、それだけでは部下が何に課題を感じ、どのような成長を目指しているのかまでは見えてきません。
そこで、1on1を「部下の成長を支援するための時間」と改めて捉え直し、管理職と部下が何を話すべきなのか、その目的から考え直しました。
02|部下の課題と目標を捉える
目的を見直したことで、対話の焦点も変わります。
管理職から業務について確認するだけではなく、部下自身が現在の状況や課題、これから目指したいことを話せることが重要です。そこから本人に必要な支援を考え、フィードバックへつなげられるようにしました。
目の前の業務だけに視線を向けるのではなく、部下がどのような課題を抱え、どこへ向かおうとしているのか。そこまで捉えることで、1on1で扱う内容を広げています。
03|管理職の対話とフィードバックを見直す
1on1の目的が明確になっても、実際の対話で活かせなければ行動は変わりません。
部下の話を聞き、課題や目標を捉え、その内容をフィードバックへ反映する。管理職には、こうした対話をおこなうための知識とスキルが求められます。
そのため、ロールプレイを通じて1on1の進め方を考え、実際の面談で活用できるようにノウハウを養っていきました。管理職自身が対話のあり方を考えることで、部下への関わり方を見直す機会にもなっています。
04|部下からも対話を動かせる状態へ
1on1で扱うテーマが変わると、部下側の姿勢にも変化が生まれます。
管理職が課題や目標を踏まえて話を聞き、具体的なフィードバックを返すことで、自分の成長について話すことへのハードルも下がっていきます。
実際に、部下から自らの課題や成長機会について、積極的にフィードバックを求める姿勢が見られるようになりました。管理職から一方的に支援するのではなく、部下自身が対話を通じて成長について考える関係へ変化しています。
05|1on1で得た対話を組織のマネジメントへ
1on1で話される内容は、個人と管理職の関係だけに閉じたものではありません。
部下の課題や目標を理解することで、管理職は本人の強みや可能性にも目を向けられるようになります。その理解が、今後どのような支援をおこなうのかを考える材料にもなります。さらに、1on1で本音を話す機会が増えたことで、チーム内の心理的安全性が高まり、個々の目標と組織全体の目標を結びつけて考える機会も生まれました。
1on1を個別の面談として完結させず、個人の成長とチームのマネジメントを考える場へ広げています。
OFFICE Pの役割
1on1の再構築で重要なのは、面談の進め方を教えることだけではありません。
組織が拡大するなかで、なぜ1on1が進捗確認に偏っているのか。部下の成長を支えるためには、どのような対話が必要なのか。こうした問いから目的を見直し、管理職に求められるスキルやフィードバックのあり方までを考えました。ロールプレイでは知識や方法を伝えるだけでなく、実際の1on1でどのような対話が生まれ、部下や管理職の関わり方がどう変わったのかにも目を向けます。
1on1は、面談の回数を増やせば機能するものではありません。部下が自分の課題や成長について考え、それを管理職と話し合える状態をつくること。その対話を管理職の支援やチームのマネジメントにも活かしていくことが、人材育成開発としての1on1再構築につながります。