進捗確認に偏っていた1on1を、部下の成長を支える対話の場へ見直した事例です。
都内のIT企業A社では、社員数が100人を超え、組織が急速に拡大していました。事業の成長に伴って管理職の業務量も増え、1on1の時間も業務上の進捗確認に使われる場面が増えていました。
本来、1on1は部下の成長を支え、管理職との信頼関係を築くための機会です。しかし、部下が抱えている課題や目標が十分に把握できなければ、対話の内容も目の前の業務確認に寄ってしまいます。
管理職が部下の状況を捉え、適切なフィードバックをおこなえるよう、1on1の考え方、そして実践方法を改めて定義するところから取り組みました。
プロジェクトの進め方
今回の取り組みでは、1on1の進行方法だけを変更するのではなく、まず「何のために1on1をおこなうのか」を捉え直しました。
目的が変われば、そこで扱う内容も変わります。部下の課題や目標を理解し、管理職が対話を通じて成長を支えられる状態を目指して、5つの段階で取り組みました。
01|1on1の目的を見直す
最初に、1on1が業務の進捗確認に偏っている状況を捉え直しました。
確認したいのは仕事の進み具合だけではありません。部下が何に悩み、何を目指しているのか。そこに目を向けなければ、1on1を成長支援の機会として活かすことは難しくなります。
そこで、1on1を「部下の成長を支援するための時間」と位置づけ、管理職と部下がどのような対話をおこなうのかを考え直しました。
02|部下の課題と目標を捉える
1on1の目的を明確にしたうえで、部下の課題や目標を捉えることに重点を置きました。
管理職から一方的に話をするのではなく、部下自身が現在の状況や考えていることを言葉にできることが重要です。そこから、今必要な支援やフィードバックを考えられるようにしました。
業務上の課題だけでなく、本人がどのような成長を考えているのかまで話題にすることで、1on1で扱う内容を広げています。
03|管理職のスキルを高める
1on1の目的を理解していても、実際の対話で活かせなければ運用は変わりません。
部下の話を聞き、課題や目標を捉え、その内容をフィードバックへ反映する。管理職には、こうした対話のスキルが求められます。
1on1を効果的におこなうためのワークショップやトレーニングを実施し、管理職が実際の面談で活用できるよう取り組みました。
04|対話とフィードバックを変える
1on1の目的と管理職の役割が明確になるにつれて、対話の内容にも変化が見られました。
管理職は、部下の課題や目標を踏まえて話を聞き、フィードバックを考える。部下側からも、自分の課題や成長機会について相談しやすくなります。
実際に、部下から自分の課題や成長機会について、積極的にフィードバックを求める姿勢が見られるようになりました。
05|組織のマネジメントへ活かす
1on1で交わされる対話は、個人と管理職の関係だけに収まりません。
管理職が部下の課題や目標を理解し、本人の強みや可能性にも目を向けることで、その後の支援方法も変わります。個人の目標を組織の目標との関係から捉えれば、1on1で得た情報をチームのマネジメントにも活かせます。
こうして、1on1を個別面談の時間として終わらせず、部下への支援と組織のマネジメントを考える機会として位置づけました。
OFFICE Pの役割
今回、1on1の進め方を教えるだけではなく、その目的から見直しました。
部下の成長を支えるために何を話すのか。管理職にはどのような対話のスキルが必要なのか。こうした点を整理したうえで、ワークショップやトレーニングを設計しています。
さらに、1on1のなかで実際にどのような対話が生まれたのかにも目を向けました。部下が課題や目標を話し、管理職がそれを受け止めてフィードバックすることができるようになることが、このプロジェクトのゴールです。