先代から事業を引き継ぐ代替わりを機に、新たなビジョンと価値観を掲げようとしていた郊外の不動産会社は、これまで築いてきた顧客との信頼関係を大切にしながら、変化するニーズにも応えていくため、これからの会社の方向性を改めて考える必要がありました。
そこで今回のプロジェクトでは、代替わりを経営を引き継ぐだけの機会とは捉えず、新しい経営者としてどのような会社をつくっていくのかを考えるタイミングとして、コンセプトデザインをおこないました。
中心に据えたのは「信頼」という考え方です。言葉として掲げるだけではなく、顧客の課題をどう解決するのか、どのような価値を提供するのか、そして取引の後もどのような関係を築くのかまで掘り下げ、これからの不動産会社のあり方につなげています。
プロジェクトの進め方
代替わりをきっかけに、まずこれまでの事業で築いてきた顧客との関係と、これから目指す会社の姿を捉えました。受け継ぐべきものを確認したうえで、新しい経営者だからこそ描ける方向性を考えています。
その中で着目したのが、不動産業において重要となる「信頼性」という概念です。ただ「お客様第一」や「地域密着」と掲げるのではなく、信頼とは何によって生まれるのかを掘り下げました。
さらに、顧客の課題やニーズを発見して解決する力、取引を通じて新しい価値を生み出すこと、長期的な関係を築くことを軸に、信頼を具体的な価値提供へつなげています。
01|代替わりを、これからの会社を考える機会にする
から事業を引き継ぐことは、これまでの経営をそのまま受け継ぐことだけではありません。新しい経営者として、どのような価値を大切にし、どのような会社を目指すのかを考える機会にもなります。
今回の代替わりでは、既存の顧客との信頼関係を守りながら、現代の多様化するニーズにも応えていく経営スタイルが求められていました。
そこで、過去から受け継ぐものと、これから変えていくものの両方に目を向け、新しい会社の方向性をコンセプトとして考えています。
02|「信頼」を言葉の意味から捉え直す
不動産業では、法令に基づく適切な運営が求められる一方、業界特有の商慣習も存在します。そうした環境の中で、企業として何を大切にするのかを考えたとき、「信頼性」が一つの重要なテーマになりました。
ただし、信頼という言葉を掲げるだけでは、企業としての違いは伝わりません。「誠実性」「透明性」「一貫性」「公平性」という要素から、その意味を具体的に捉えていきました。
「お客様第一」や「地域密着」といった言葉にとどまらず、どのような姿勢で顧客と向き合うのかまで考えることで、信頼を企業の考え方として明確にしています。
03|信頼を、顧客への価値提供につなげる
信頼を企業の考え方として掲げるなら、それが顧客との関係にどう表れるのかまで考える必要があります。そこで、信頼を実際のサービスや行動へつなげる方向性を検討しました。
一つは、顧客の課題やニーズを見つけ、解決策を提供することです。不動産を扱うこと自体ではなく、その先にある顧客の課題に目を向けることで、サービスの価値を捉え直しました。
さらに、資産価値の向上やライフスタイルの改善といった価値創造、一度の取引で終わらない長期的な関係づくりまで視野に入れています。
04|不動産会社としての「選ばれる理由」を考える
不動産会社として他社との違いを明確にするには、契約実績や営業年数を示すだけでは十分ではありません。顧客にとって、なぜこの会社を選ぶのかという理由そのものを考える必要があります。
そこで、顧客のニーズを発見して解決する力を、これからの不動産サービスにおける重要な価値として捉えました。
取引によって資産価値を高めることや、ライフスタイルの改善につなげることも含め、顧客に提供できる価値を広げて考えています。
05|新たなコンセプトを地域との関係へ広げる
新しいコンセプトは、社内に掲げる言葉だけで完結するものではありません。地域の中でどのような会社として存在するのかを考え、実際の活動にも反映していくことが重要になります。
その一つとして、不動産に関する無料相談会や勉強会を開催し、地域住民との接点を増やす取り組みがおこなわれています。
代替わりを経営の引き継ぎだけで終わらせず、時代や地域のニーズに応じて会社のあり方を変えていく。「信頼」を軸にしたコンセプトを、これからの経営と地域との関係へつなげました。
OFFICE Pの役割
今回、OFFICE Pが担ったのは、代替わりに合わせたキャッチフレーズを考えることではありません。新しい経営者がどのような会社をつくろうとしているのかを捉え、その考えをこれからの事業に通じるコンセプトへ落とし込むことから支援しました。
特に重視したのは、「信頼」という言葉を抽象的な価値観で終わらせないことです。誠実性、透明性、一貫性、公平性という要素から信頼の意味を掘り下げ、課題解決、価値創造、長期的な関係づくりという具体的な価値へ展開しました。
代替わりは、これまで築いてきたものを受け継ぐと同時に、これからの会社のあり方を考える機会にもなります。そのタイミングで経営者のビジョンや価値観をコンセプトとして明確にし、事業や地域との関係に反映できる方向性へつなげる。OFFICE Pは、代替わりを契機とした不動産会社のコンセプトデザインを支援しました。