企業の採用活動では、求人情報や採用メッセージを通じて、自社の魅力を求職者へ伝えることが重視されます。一方で、企業が何を大切にし、どのような環境で、どのような人と働きたいのかが明確でなければ、伝える内容にも一貫性が生まれません。
採用は、企業が人を選ぶだけの活動ではありません。企業もまた求職者から選ばれる立場にあるからこそ、企業の価値観や現在の姿を正しく伝え、双方が納得して判断できる採用戦略をつくることが重要になります。
今回のプロジェクトは、企業の採用戦略をコンセプトデザインの対象として捉え、採用活動で伝えるべき企業の価値や考え方を見直しました。企業側が伝えたいことだけではなく、求職者がその企業を理解し、自分が働く姿をイメージできることも含めて採用のコンセプトをデザインしていきました。
プロジェクトの進め方
今回の支援では、採用活動で何を伝えるのかを考える前に、企業自身が自社をどのように捉えているのかを見直しました。
採用担当者が自分自身の入社理由を振り返り、自社の魅力や価値を捉え直す。そのうえで、他社の採用活動との比較や、現在の企業の状況、求める人物像にも目を向けました。
こうして見えてきた企業の価値を、求職者へ伝えるための採用コンセプトへ落とし込み、採用活動に一貫した考え方を持たせています。
01|採用する企業と、選ぶ求職者の関係を捉える
採用活動では、企業が求職者を選ぶことに意識が向きやすくなります。しかし、求職者もまた「この会社で働きたい!」と判断しながら企業を選んでいます。
この双方向の関係を前提にすると、採用で伝えるべき情報も変わります。企業が伝えたい魅力だけではなく、求職者が自分に合う環境なのかを判断できる情報まで含めて考える必要があります。
そのため、採用コンセプトを企業からの一方的なメッセージではなく、企業と求職者の双方が判断するための軸として捉えなければなりません。
02|採用担当者自身の「入社したい」を起点にする
自社の魅力を考えるとき、外から見た企業像だけではなく、実際にそこで働く人が何に価値を感じているのかを見ることが重要です。
そこで、採用担当者自身が「なぜこの会社に入社したのか」を振り返り、自社への共感や魅力を改めて捉え直しました。
さらに、他社の採用活動にも目を向けることで、自社には何があり、何を伝えるべきなのかを比較しながら考えています。
03|魅力だけではなく、現在の企業の姿を伝える
採用活動では、企業の強みや成長性を伝えたいという意識が強くなります。しかし、良い面だけを伝えれば、求職者が入社後に実際の環境との違いを感じることもあります。
そこで、現在抱えている課題も含めて企業の姿を捉え、採用時にどこまで伝えるのかを考えました。
企業の実情を率直に伝えることは、企業にとって都合のよい情報だけを発信するのではなく、求職者が入社後の仕事や環境を具体的に考えるための材料にもなります。
04|企業が求める人物像を明確にする
採用コンセプトを考えるうえでは、企業の魅力を伝えるだけでは不十分です。どのような人と一緒に働きたいのかを明確にしなければ、企業と求職者の間に共通する期待もつくりにくくなります。
そこで、企業が大切にする価値観や文化とあわせて、求める人物像についても捉え直しました。
企業が求める人材を明確にすることで、求職者も自分自身との適性を判断しやすくなり、採用における双方の認識を近づけることができます。
05|採用戦略を動かすコンセプトをつくる
ここまで捉えてきた企業の価値、現在の姿、求める人物像をもとに、採用活動で伝えるべき考え方を採用コンセプトとしてまとめました。
採用コンセプトは、求職者を惹きつけるための言葉だけではありません。企業の理念や文化を伝えながら、求職者が入社後の仕事やキャリアをイメージし、自分に合う企業なのかを判断するための指針にもなります。
企業が「この人と働きたい」と考え、求職者も「この会社で働きたい」と判断できる。その双方の期待が重なる状態を採用戦略の目指すところとして、コンセプトデザインをおこないました。
OFFICE Pの役割
OFFICE Pが担ったのは、採用広告や求人情報の表現を考えることだけではありません。企業自身が自社の価値を捉え直し、それを採用戦略の中でどのように伝えるのかを考えるところから、採用コンセプトを設計しました。
特に重視したのは、企業と求職者の双方が選択する関係です。企業の魅力を一方的に伝えるのではなく、現在の姿や課題、求める人物像まで含めて伝えることで、求職者が自分との適性を判断できる採用を考えました。
企業の価値観を採用活動に反映し、求職者との間に共通する認識をつくる。採用活動そのものを企業の価値を伝える場として捉え直し、企業の採用戦略をコンセプトデザインによって支援した事例です。